光回線の解約の費用
光回線を解約するとき、違約金と工事費の残りはいくらまで請求される?——総務省令は上限を決め、総務省のQ&Aは計算の例を載せていた
光回線を途中でやめると、違約金や工事費の残りを一度に請求されると聞いて、解約をためらう人がいます。
請求できる額には、総務省令で上限が決まっていました。違約金は月の料金に相当する額まで、工事費は残りの月数に応じて減らした額までです。
解約の電話をかける前に、手元の契約で上限がいくらになるかを見積もれるようにします。
・違約金は、月の料金に相当する額が上限(税込で考える)
・工事費は、契約の残りの月数に応じて減らした額が上限
・工事費が割引のキャンペーンでも、割引前の額をもとに請求することはできない
解約で払う額に、上限の決まりはあるの?
あります。電気通信事業法施行規則の第22条の2の13の2が、上限を超える請求を、事業者がしてはいけない行為に挙げています。この条は、法律の第27条の2を受けて、利用者の利益を損なうおそれのある行為を並べた条文です。第2号に、解約に伴う請求の線がありました。
電気通信役務に関する契約の解除に伴い当該契約の解除をした者が支払うべき金額として次に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える金額を請求すること。
「次に定める額」として、イからトまでの7つが続きます。使った分の料金、違約金、開通のときの工事費、解約のときの工事費、利用者が頼んだ工事の費用、設備の除却の損失、貸していた機器の使用料です。
対象は個人の契約で、同じ条の第1号に「法人契約を除く」と書かれ、第2号にも同じく当てはまります。会社の名義で結んだ回線は、この線の外です。
本文の終わりにある遅延損害金は、払う日が遅れたときに加わる分です。上限の額に、法定利率で計算したその分を足した額までなら請求できる、という書き方になります。
この条文は、2022年に見直された決まりの中心です。総務省は、見直しに合わせて事業者向けの「改正電気通信事業法施行規則Q&A」を出していて、消費者保護ルールの頁に最終更新日を2022年7月1日と載せています。
Q&Aは事業者の問いに総務省が答える形なので、読者が知りたい「結局いくらか」の答えが、例として書かれています。この記事では、その例も一緒に読みます。
ただ、Q&Aは2022年の時点の書き方です。同じ頁には、2025年10月からの消費者保護政策委員会の資料も並んでいます。この記事の条文は、2026年9月27日にe-Govで引いたものです。
違約金は、いくらまで?
その回線と、回線に付いて提供されていた有償のサービスの、一月あたりの料金に相当する額までです。契約から一定の期間内に解約したことを理由に求める違約金は、省令のロでこの額が上限になります。
Q&Aには、この「月額利用料相当額」を税込で考えてよいかという問いがありました。
違約金の上限となる月額利用料相当額とは、税込額で考えてよいか。
総務省の答えは「ご認識のとおりです。」の1文でした。月の料金が税込で5,500円の契約なら、違約金の上限も5,500円になる、という読み方です。
工事費の残りは、どう決まるの?
開通のときの工事費に、契約の残りの月数の割合を掛けた額が上限です。割合は2通りあり、高いほうを使うと省令のハは定めます。
1つは、契約が満了する月までの月数のうち、まだ残っている月数の割合です。もう1つは、24か月のうち、まだ残っている月数の割合です。どちらの月数も、使い始めた月の翌月から数えます。
契約の途中で引越しの工事をしたときの例が、Q&Aに載っていました。
可能です。ただし、電気通信サービスの契約期間中に行われる工事については、当該電気通信サービスに係る契約期間に応じて低減した額が費用請求できる上限となります。
例では、2年の契約を3月10日に使い始め、10月15日に引越しの工事をして、12月20日に解約する形です。請求できるのは工事費の(24−9)/24で、4月から12月までの9か月を引いた残りの割合です。
工事費が無料のキャンペーンで入っていたら?
割引の前の額をもとに、残りの工事費を請求することはできません。Q&Aは、開設工事費の割引キャンペーンについての問いに、こう答えていました。
解約時に利用者に対して開設工事費を請求する際に、割引前の額を基礎として請求することはできません。
続けて、請求できるのは、工事に通常かかり、利用者に通常請求している費用を、契約期間に応じて減らした額だと書いています。実費がかかっていても事業者が負担している分は請求できない、とも添えていました。
解約のときの撤去工事は、いくら払うの?
事業者の側に必要な工事か、利用者が頼んだ工事かで、線が分かれます。解約に際して必要になる工事の費用も、省令のニで工事費の残りと同じ割合を掛けた額が上限です。
一方のホは、利用者の求めに応じて行う工事の費用です。こちらには割合が掛からず、通常かかる費用の額と、その工事で設備を取り除くことで生じる損失の額がそのまま並んでいます。
撤去の工事を勧められたら、それが解約に必要な工事なのか、自分が頼む工事なのかを確かめておくと、請求の線が見分けられます。
請求の種類ごとに、上限を並べると?
| 請求の種類 | 上限(省令の書き方を短くしたもの) | 根拠 |
|---|---|---|
| 違約金 | 一月あたりの料金に相当する額(税込) | 省令 第2号ロ・Q&A |
| 開通の工事費 | 工事費×残りの月数の割合(2通りの高いほう) | 省令 第2号ハ |
| 解約に必要な工事 | 工事費×残りの月数の割合 | 省令 第2号ニ |
| 利用者が頼んだ工事 | 通常かかる費用の額と、除却による損失の額 | 省令 第2号ホ |
| 貸していた機器 | 通常の使用料の残り(返さない・壊れたときは取得の価額を加える) | 省令 第2号ト |
解約の電話の前に、次を手元の契約書面で確かめておくと、請求の額を見積もれます。
- 月の料金(税込)はいくらか
- 契約期間は何か月で、使い始めた月はいつか
- 開通の工事費の額と、割引のキャンペーンを使ったか
- 撤去の工事は必要か、それは誰の求めで行うものか
- 返す機器はあるか
自分の契約なら、どこから確かめる?
- 2年の契約の途中でやめる:違約金は月の料金まで、工事費は残りの月数の割合をもとに見積もる
- 工事費無料のキャンペーンで入った:割引前の額で請求されていないかを、明細で確かめる
- 撤去の工事を勧められた:解約に必要な工事か、自分が頼む工事かを聞く
- 会社の名義で契約している:この記事の線は個人の契約のものなので、契約書面の定めを見る
この記事で扱っていないこと
- 契約してすぐの解除:書面を受け取ってから8日の間の初期契約解除は、別の決まりです。初期契約解除の記事にまとめました
- テレビのサービスとの組み合わせ:放送のサービスを一緒に契約している場合の分け方は、Q&Aに細かい場合分けがあります。この記事では扱いません
よくある質問
電話で勧められて乗り換えた回線をやめたいときは?
届いた書面と、電話の中身を先に確かめてください。電話勧誘で届く2つの書面は電話勧誘の記事にまとめています。
上限より多く請求されたら?
省令は、上限を超える請求を事業者の禁止行為として並べています。請求の内訳を書面でもらい、契約した事業者に上限との差を尋ねてください。
出典
- 電気通信事業法施行規則 第22条の2の13の2(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/360M50001000025
- 総務省「改正電気通信事業法施行規則Q&A」 https://www.soumu.go.jp/main_content/001078898.pdf
- 総務省 電気通信消費者情報コーナー「消費者保護ルール」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/shohi.htm
上の出典を引いて確かめた日: